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【番外編】祖父母は「2人合わせて200歳」。東京で写真展を開きたい孫姉妹の思いを聞く

喜界島出身の祖父母の歳が合わせて200歳になるという孫の得本華子・真子姉妹が、「2人合わせて200歳」という写真展を東京で開きたいとクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」にてプロジェクトを開始しました。今回は高齢社会で家族とのコミュニケーションを大事にしている得本姉妹からこの写真展にかける思いや今後の展開などお伺いしました。

喜界島出身の合わせて200歳の祖父母を持つ得本姉妹
喜界島出身の合わせて200歳の祖父母を持つ得本姉妹

得本華子・真子 姉妹(とくもとはなこ・なおこ)

鹿児島県喜界島出身。姉の華子さんは1986年生。大学時代に北京や台湾などに留学し、卒業後シンガポールに渡り日本語教師となる。現在は東京でウェブプログラマーとして活動中。妹の真子さんは1988年生。父からカメラを譲り受け、写真を始める。日本八王子工学院専門学校テレビカメラマンコース・東京工科大学メディア学部卒業。渡部さとる氏2Bワークショップ、32期卒業生。卒業展Prologueでは、人気投票第一位を獲得し、山田敦士氏・水谷充氏の手がける「Photo lounge」で喜界島の作品をプレゼンした。2011年から常夏のシンガポールに渡り、ウェブデザイナー兼写真家として働いている。

 

── なぜ、祖父母の写真展を開こうと思ったのでしょう?

いつかは必ず写真展を開かないといけないという使命感を持っていた

妹・真子 なぜか、いつかは必ず写真展をしないといけないという使命感を持っていました(笑)。しかし、写真達を通じて伝えたいことが喉元まで出かかっていたのですが、なかなか出てきませんでした。今年に入り、祖父母があわせて200歳という大きな節目を迎えるにあたって2人の姿をファインダーの中で見ていると、「私が写真を通じて伝えたいことはこれだ!命のつながりなんだ」と、納得することが多々ありました。写真について姉・華子と話しをするにつれ、「私たちは祖父母孝行ができているのか」「家族だけに留まらず、広い目線で何か出来ることがあるのではないだろうか」という考えに行きつき、今回の写真展開催を決めました。

103歳になる得本維宗夫さん(祖父)
103歳になる得本維宗夫さん(祖父)

── 写真展の内容を教えてください

妹・真子 いただいた資金の額に応じて、東京のみならずその他の地域でも開催することができたら、と考えております。開催中は、ただ写真を見ていただくだけではなく「おじいちゃんおばあちゃん世代の方とのコミュニケーションを向上させよう」というテーマの座談会を行う予定です。また、来場者の方が引く「ふれあいみくじ」では家族とのコミュニケーションを向上させるヒントを提案いたします。発信するだけではなく、意見交換をすることで来ていただいた方の心に残るような展示を目指しています。

 

 

写真展について詳しくはCAMPFIREの遠く離れた喜界島に住む祖父母の写真展「2人あわせて200歳」を、姉妹で開きたい!

 

 

── 写真展で祖父母の写真などを通じて来場していただいた方に一番伝えたいことはなんでしょうか?

日常では感じにくい、生と死の近さを思い出して欲しい

妹・真子 いつもの日常では感じにくい、生と死の近さを思い出して欲しいです。祖父母は様々なポイントを回避して今まで生きてくることができましたが、死は決して年功序列ではなく突如やってくる場合もあります。祖母も昔、戦争の爆撃によってもう少しで命を落とすところでした。「生きる」という大きな役割を思い出し、日常の中の悩みとはなんてちっぽけなものだろうと感じて欲しい。そして、生きている今、周囲の人々とのふれあいをもっと大切にして欲しいというメッセージを受け取ってほしいです。

人のつながりの中に今の自分がある、ということを感じてもらいたい

姉・華子 100年以上を生きているおじいちゃんの人生、そこから派生して私の人生があります。家族の写真から人のつながりの中に今の自分がある、ということを感じてもらいたいです。

 

97歳になる祖母得本トヨ子さん
97歳になる得本トヨ子さん(祖母)

 

── シニア世代の方とのコミュニケーションが向上することでどんな世の中になると良いとお考えですか

高齢者の毎日が周りの人々のアイデアでもっと楽しくなってくれたら

妹・真子 おじいちゃん、おばあちゃん、高齢の方になると一日の内容が単調になってしまいがちです。テレビを見て過ごしたり、足腰の悪い方だと、寝床で一日を過ごす日もあるのではないのでしょうか。そういった高齢の方の毎日が、周りの人々のアイデアでもっと楽しくなってくれたら、と願っています。おばあちゃんの好きなお花を飾ってみる、本を読み聞かせて楽しむ、珍しい食べ物を一緒に試してみたり・・・・・。ちょっとした事で、一日一日が違う、特別な毎日に思えてくるのではないかな、と。写真展で開催予定の座談会では、介護疲れや高齢者の人権問題、孤独死などの問題も踏まえてじっくり皆さんとお話しできたらと思っています。

 

家族、自分のルーツである田舎に目を向けてほしい。

姉・華子 いつかこうなってほしいと思うのは、都市一箇所に人口の集中した現在ですが、みんなにもっと「生活」を楽しんでほしい。家族、自分のルーツである田舎に目を向けてほしい。人とのつながりを感じながら暮らせる世の中になると、最高ですね!長い人生の分だけ、若い世代が知らないような興味深いストーリーがたくさんあるはずです。例えば、おじいちゃんが私の歳の時、どんなことをしていたかを尋ねてみるとか。孫に話しかけられて嬉しくない人なんていません!お年寄りは遠慮してしまうところがあるかもしれません、こちらからどんどん話しかけみましょう。都会で忙しく働いていると、人付き合いが限定されてしまうことも多いでしょう。私もそうです。孫パワーは絶大です。ちょっとした絵葉書を送って、おじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせてあげましょう!

 

── このイベントが無事開催できた後の展開を教えてください

妹・真子 展示会を開催後、会場へ足を運べなかった方々に向けて写真集を販売する予定です。展示会や座談会の中で、ご家族に高齢の方がいらっしゃる人々の率直な意見を受け取り、違った切り口で他のご家族の生き方まで撮影を広げていけたらと思っています。また、私は以前うつ病を患っていた時期がありまして、闘病中は誤解や認知の低さに驚きました。今も闘病を続けている方達、認知度が低い方達に向けてメッセージを伝えられる作品を作ることができたらと考えています。

姉・華子 今のところ、その後のことは具体的には考えていませんが、妹はおじいちゃんおばあちゃんの生活、島での命の流れを撮り続けていくので、私はそれをサポートしていきたいです。

得本華子・真子姉妹

得本華子・真子姉妹

 

── 得本姉妹、ありがとうございました!お二人の写真展開催資金をCAMPFIREで支援中ですので支援したい方はのぞいてみてくださいね!

( インタビュー・文: KOKEGUCHI  編集: HISAKO)